○菊川市議会基本条例
平成21年2月13日
条例第1号
目次
前文
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 議会及び議員の活動原則(第3条―第5条)
第3章 市民と議会の関係(第6条・第7条)
第4章 議会と行政の関係(第8条―第10条)
第5章 自由討議の保障(第11条・第12条)
第6章 委員会の活動(第13条)
第7章 議会及び議会事務局の体制整備(第14条―第17条)
第8章 議員の政治倫理、身分及び待遇(第18条―第20条の2)
第9章 最高規範性と見直し手続(第21条・第22条)
附則
地方議会は、地方分権の時代にあって、二元代表制のもと、地方公共団体における事務執行の監視機能等議会の権能を十分発揮しながら、日本国憲法に定める地方自治の本旨の実現を目指すものである。
菊川市議会(以下「議会」という。)は、菊川市民によって選ばれた議員(以下「議員」という。)で構成し、地方自治法に定める議会の役割と責務に基づく市の意思決定機関であり、市民の福祉向上のために活動するものである。
議会は市民の意思を代弁する合議制機関であることから、自らの創意と工夫によって市民との協調のもと、菊川市のまちづくりを推進していく必要がある。議会の公正性及び透明性を確保することにより、市民に開かれた議会、市民参加を推進する議会を目指した活動のあるべき姿をここに定めるものである。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、議会運営及び議員に係る基本事項を定め、議会及び議員の活動により、菊川市の豊かなまちづくりを実現することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 市民 市内に在住する個人及び市内で活動する法人その他の団体をいう。
(2) 市 市長を代表者とする基礎的自治体としての菊川市をいう。
第2章 議会及び議員の活動原則
(議会の活動原則)
第3条 議会は、次に掲げる原則に基づき活動を行わなければならない。
(1) 公正及び公平性並びに透明性を確保し、市民に開かれた議会を目指すこと。
(2) 市民の多様な意見を的確に把握し、市政に反映させるための運営に努めること。
(3) 市民にとって、分かりやすい言葉を用いた説明に努めること。
(4) 議会内での申し合わせ事項は、不断に見直しを行うこと。
(5) 市民の関心を高める議会運営を行うこと。
(議員の活動原則)
第4条 議員は、次に掲げる原則に基づき活動を行わなければならない。
(1) 議会が言論の府であること及び合議制機関であることを十分認識し、議員間の自由な討議を重んじること。
(2) 市政の課題全般について、市民の意見を的確に把握するとともに、自己の能力を高める不断の研さんによって、市民の代表としてふさわしい活動をすること。
(3) 議会の構成員として、一部団体及び地域の代表にとらわれず、市民全体の福祉の向上を目指して活動すること。
(4) 議会の品位及び秩序を保つよう努めること。
(5) 議決した事項は、議会の意思として尊重すること。
(会派)
第5条 議会の会派は、政策を中心とした同一の理念を共有する議員で構成する。
2 地方分権に伴い、全市的な課題や周辺地域政策を実現するための政策集団として活動し、その役割を果たすものとする。
第3章 市民と議会の関係
(市民参加及び市民との連携)
第6条 議会は、その有する情報を積極的に市民に発信し、説明責任を十分果たさなければならない。
2 議会は、本会議のほか、すべての会議を原則公開とする。
3 議会は、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第100条の2の規定による専門的知見の活用並びに常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会(以下「委員会」という。)において、法第115条の2(第109条第5項において準用する場合を含む。)の規定による参考人制度及び公聴会制度を活用し、市民の専門的又は政策的識見等を議会の討議に反映させるよう努めるものとする。
4 議会は、市民との意見交換の場を多様に設け、議員の政策立案能力を強化するとともに、政策提案の拡大を図るものとする。
5 議会は、請願、陳情及び要望を市民による政策提案と位置づけるとともに、その審議においては提案者の意見を聴くことに努めるものとする。
(議会報告会)
第7条 議会は、市政全般にわたって、議員及び市民が自由に情報及び意見を交換する議会報告会を行うものとする。
2 議会報告会に関することは、別に定める。
第4章 議会と行政の関係
(議員と市長等執行機関の関係)
第8条 議会審議における議員と市長等執行機関及びその職員(以下「市長等」という。)との関係は、次に掲げるところにより、緊張関係の保持に努めなければならない。
(1) 市長の本会議又は委員会への出席は、議長の要請によるものとする。
(2) 本会議における代表質問及び一般質問は、広く市政上の論点及び争点を明確にするため、一問一答の方式で行うことができる。
(3) 市長等は、議長又は委員長の許可を得て、議員の質問及び質疑に対して反問することができる。
(4) 議員は、会期中又は閉会中にかかわらず、議長の確認を経て市長等に対し文書質問を行うことができる。この場合、市長等に文書により回答を求めるものとする。
(5) 議員は、市長等への口頭による要請に対して、両者の関係の透明性を図るため、必要に応じて、日時、要請内容、対応及び経過等を記録した文書を作成するものとする。
(6) 議員は、法律で定める場合及び議会であらかじめ定める場合を除き、執行機関の主宰する会議、諮問委員会、補助団体等に参加しない。
(7) 議会は、個人情報に関わる部分を除き、公文書の提出並びに情報の提供を積極的に行うよう市長等に求めるものとする。
(議会審議における論点情報の形成)
第9条 議会は、市長が提案する重要な政策について、議会審議における論点を明確化し、その政策水準を高めることに資するため、市長に対し、次に掲げる事項について明らかにするよう求めるものとする。
(1) 政策の発生源
(2) 提案に至るまでの経緯
(3) 他の自治体の類似する政策との比較検討
(4) 市民参加の実施の有無とその内容
(5) 総合計画との整合性
(6) 財源措置
(7) 将来にわたるコスト計算
2 議会は、前項の目的を達成するため、毎年2月に招集される議会の定例会の会期中において、市長に対し、同項の政策の概要及び策定日程について説明を求めるものとする。
(予算及び決算における政策説明)
第10条 議会は、予算及び決算の審議に当たっては、前条第1項の規定に準じて、分かりやすい施策別又は事業別の説明を市長に求めるものとする。
第5章 自由討議の保障
(議会の合意形成)
第11条 議会は、言論の府であって、議長は、市長等に対する会議等への出席要請を必要最小限にとどめ、議員相互間の自由討議を中心に運営しなければならない。
2 議会は、本会議及び委員会において、議員、委員会及び市長提出議案並びに市民提案に関して審議し結論を出す場合、議員相互間の議論を尽くして合意形成に努めるものとする。
(政策討論会)
第12条 市政に関する重要な政策及び課題に対して、議会としての共通認識の醸成を図り、合意形成を得るため、政策討論会を開催する。
2 政策討論会に関することは、別に定める。
第6章 委員会の活動
(委員会の活動)
第13条 委員会審査に当たっては、資料等を積極的に公開して、市民に対し分かりやすい議論を行うよう努めなければならない。
2 委員長は、委員会の秩序保持に努め、委員長報告を自ら作成するとともに、質疑に対する答弁も責任をもって行わなければならない。
3 委員会は、市民からの要請に応じて審査の経過等を説明するため、市民説明会を積極的に行うよう努めるものとする。
第7章 議会及び議会事務局の体制整備
(議員研修の充実強化)
第14条 議会は、議員の政策形成及び立案能力の向上等を図るため、議員研修の充実強化を図る。
2 議会は、議員研修の充実強化に当たり、広く各分野の専門家、市民各層等との研究会を年1回以上開催するものとする。
(議会事務局の体制整備)
第15条 議長は、議員の政策形成及び立案を補助する組織として、議会事務局の調査及び法務機能の充実強化を図るよう努める。
(議会図書室の利用)
第16条 議会図書室は、議員のみならず、だれもがこれを利用できるものとする。
(議会広報の充実)
第17条 議会は、議案に対する各議員の対応を議会広報で公表する等、情報の提供に努めるものとする。
2 議会は、情報技術の発達を踏まえた多様な広報手段を活用して、多くの市民が議会と市政に関心を持つよう議会広報活動に努めるものとする。
第8章 議員の政治倫理、身分及び待遇
(議員の政治倫理)
第18条 議員は、市民全体の代表者としての倫理性を常に自覚し、自己の地位に基づく影響力を不正に行使することで、市民の疑惑を招くことのないよう行動しなければならない。
2 政治倫理に関することは、別に定める。
(議員定数)
第19条 議員定数の改正に当たっては、行財政改革の視点だけではなく、市政の現状及び課題並びに将来の予測及び展望を十分に考慮するものとする。
2 議員定数の基準は、人口、面積、財政力及び市の事業課題並びに類似市の議員定数と比較検討し、決定するものとする。
3 議員定数の条例改正議案は、市民の直接請求による場合及び市長が提出する場合を除き、議員定数の基準等の明確な改正理由を付して、法第109条第6項又は法第112条第1項の規定に基づき、委員会又は議員から提出するものとする。
(議員報酬)
第20条 議員報酬の改正に当たって、議員が提案する場合は、市民の客観的な意見を参考にするものとする。
2 議員報酬の条例改正議案は、市民の直接請求による場合及び市長が提出する場合を除き、明確な改正理由の説明を付して、法第109条第6項又は法第112条第1項の規定に基づき、委員会又は議員から提出するものとする。
(政務活動費)
第20条の2 議会の会派の代表者又は会派に所属していない議員は、菊川市議会政務活動費の交付に関する条例(平成21年菊川市条例第2号)第2条の規定により、調査研究その他の活動に資するために政務活動費の交付を受けたときは、会計帳簿、領収書等を整理し、その透明性を確保するものとする。
2 議会の会派の代表者又は会派に所属していない議員は、政務活動費の収支報告書について、自ら説明責任を果たすよう努めるものとする。
第9章 最高規範性と見直し手続
(最高規範性)
第21条 この条例は、議会における最高規範であって、議会は、この条例の趣旨に反する議会の条例、規則等を制定してはならない。
2 議会は、議員にこの条例の理念を浸透させるため、一般選挙を経た任期開始後、速やかにこの条例の研修を行わなければならない。
(見直し手続)
第22条 議会は、次の各号のいずれかに該当するときは、速やかにこの条例の目的が達成されているかどうかを議会運営委員会において検討するものとする。
(1) 任期最終年
(2) 議会が必要と認めた場合
2 議会は、前項による検討の結果に基づいて、この条例の改正を含む適切な措置を講じるものとする。
3 議会は、この条例を改正する場合には、全議員の賛同する改正案であっても、本会議において、改正の理由及び背景を詳しく説明しなければならない。
附 則
この条例は、公布の日から施行する。
附 則(平成24年12月28日条例第36号)
この条例は、地方自治法の一部を改正する法律(平成24年法律第72号)附則第1条ただし書に規定する規定の施行の日から施行する。
附 則(平成26年9月30日条例第29号)
この条例は、公布の日から施行する。
附 則(平成30年12月25日条例第34号)
この条例は、公布の日から施行する。